新しい鼻からの細い胃カメラ検査!=経鼻内視鏡検査とは?
経鼻内視鏡検査は、鼻から細いカメラ(内視鏡)を挿入して食道・胃・十二指腸を観察する上部消化管内視鏡検査です。内視鏡技術の進歩により、内視鏡を口からではなく鼻から入れて、吐き気・不快感が軽減されることが期待できます。
この方法では咽頭反射がほとんどないか、あっても非常に少なく、吐き気・不快感が軽減されることが期待できます。報告では9割前後の方が次回もこの方法を希望されています。それでも咽頭反射が強い方はおられます。そのような方には咽頭麻酔(喉の麻酔)を追加します。
検査中、口がふさがれていないので会話が可能です。説明を行いながら検査を進めますので、リラックスして検査を受けていただけます。
特殊なケースを除き、鎮静剤・鎮痛剤・鎮痙剤を使わなくてすむので、偶発症の危険性が少ないです。
(内視鏡検査の偶発症のうち9割がこれらの使用によるものです)。
鼻の中を内視鏡が通るので、検査中・検査後に「鼻がツンとする感じ」、「鼻に水が入ったときの感じ」といった違和感や痛みがありえます。初期のころのアンケートでは(軽度のものも含めて)鼻痛が30%程の方にあったと報告されています。
しかし、予防のために鼻の麻酔(前処置)を十分にします。そのために前処置に少々時間がかかります。また、検査後にくしゃみ・鼻水などがおこることもありますが、一時的なもので数時間後には改善することがほとんどです。また、前処置に使用する薬の副作用で検査後に頭痛がおこることもあります。
鼻の手術を受けられたことのある方や、鼻中隔彎曲症やアレルギー性鼻炎、繰り返す副鼻腔炎などをお持ちの方では、鼻からの挿入ができないこともあります。その場合には、無理をせず口からの挿入に変更します。
経鼻内視鏡の挿入率は9割程と報告されています。
検査を受けやすくするために内視鏡が柔らかくつくられていますので、部位によっては生検ができないこともあります。その場合には適宜対応(数ヶ月後の経過観察、または通常の方法での再検査)させていただきます。
ほとんどないことではありますが、鼻腔が狭い方ではカメラが抜けなくなることがありえます。挿入時に無理をしないことでこのような事態を予防します。
カメラが細いため通常の経口内視鏡よりやや画像が劣りますが、内視鏡機器の進歩や観察方法の工夫により、最近では遜色ない程度に観察が可能になってきています。
喉の反射が強い方には、咽頭麻酔(喉へのスプレー麻酔)を追加します。この後、内視鏡を鼻から挿入して、空気を入れながら食道・胃・十二指腸を観察します。観察終了時にある程度空気を抜きますが、検査中・検査後にお腹が張る感じがあります。検査後1時間後には飲食が可能です。
一般的な経口内視鏡検査(口からのカメラ)での合併症(※下記参照)の他に鼻出血がありえます。鼻出血がおこる頻度は6%程といわれています。しかし自然止血や血管収縮剤の点鼻などで止血されることがほとんどです。どうしても止血できない場合には耳鼻科での処置が必要となることがあります。
上記のような理由で、当院では下記の方に経鼻内視鏡検査を行っていません。
- 血の止まりにくい疾患(肝硬変や血液疾患など)をお持ちの方
- 血をサラサラにするお薬(抗血小板薬、抗凝固薬)を内服中の方
ただし、お薬を一定期間休んでもよいと主治医の許可が得られた方は、休薬の上で検査をお受けいただくことが可能です。
必ず主治医にご相談下さい。
また、検査時に使用する薬剤の母乳への移行について明確な検証結果が得られていませんので、授乳中の方にも当院では経鼻内視鏡検査を行っていません。
一般的な経口内視鏡検査での合併症
- 出血(内視鏡による刺激や、生検などによるもの)
- 穿孔(内視鏡により食道、胃、十二指腸などに穴があくこと)
- ショック(血圧低下、呼吸減弱など)
- アレルギー(麻酔薬によるもの)
その他、脳卒中・原疾患(喘息・てんかん・不整脈・狭心症など)の悪化なども報告されています。
合併症が起きた場合にはまれに入院や緊急の処置・手術が必要となることがあります。検査全体での合併症の発生率は0.005%、死亡率は0.00019%と報告されています(日本消化器内視鏡学会報告)。細心の注意を払い、できるだけ安全に検査をうけていただけるようにしていますが、万一の際には最善を尽くして対処させていただきます。